駅前の本屋で文庫本のコーナーに平積みになっていたので、瀬島龍三氏が無くなって急に発行した本と思ったのだけど実は1996年3月に発行された本。
興味深く読めたのは第二章の戦争中に瀬島龍三氏が配属されていた参謀本部作戦部作戦課の戦争における役割。太平洋戦争に至った経緯として、この課の参謀の意思が戦争を引き起こしたとまで言っている様な書き方をしている。

連合国による東京裁判の結論は「軍国主義日本の政治、経済、外交、軍事の中心人物たちが共同謀議し、計画的にアジア征服に乗り出した」であるが、軍部支配の実態に詳しい京都大学文学部の筒井清忠教授によると、「実態は共同謀議なんてとんでもない。政界も各省庁も陸海軍も相互の対立が激しくてばらばらだった。日本に明確な戦争の意思と計画があったというより、中堅幕僚(参謀)の暴走に引きずられた」

この考え方が正解とすると第一章で紹介されている戦後の伊藤忠でのインドネシア、韓国の賠償金ビジネスなんて単なる金儲けに過ぎないと思える。

前にHarvard Business Review 2006年2月号の『兵法のリーダーシップ』の心理会計モデルの説明で、この参謀本部の辻政信氏が「なぜガダルカナルより撤退しなかったのか?」と取り上げていて、ノモンハン事変での大敗、マレー・シンガポール作戦での大勝の記事が掲載されていたが、この本にも辻政信氏が登場してくる。

今の日本の教育、マスコミは戦争の悲惨さを取り上げ教育してきているが、この本を読むと戦争に至った経緯として一部のエリート主義と組織間のかく