村上春樹のなかの中国

 

村上春樹のなかの中国 (朝日選書 826)

村上春樹のなかの中国 (朝日選書 826)

図書館の新書のコーナーで見つけた本。村上春樹は中国から深い影響を受けている。と言う内容で東アジアでの村上春樹現象を取り上げた本。

魯迅阿Q正伝との比較論でこの本丸々一冊書かれているのかなと思ったら、阿Q正伝の話は第一章だけで後は台湾、香港、中国での村上春樹の取り上げられ方を書いた本。

台湾での取り上げれら方がファッショナブルな取り上げられ方。台湾で最初に村上春樹を取り上げたのは頼明珠と言う女性で、彼女が広告代理店に勤務していた1982年から83年の日本の女性誌の書評から村上春樹を見つけたと言う。これは、あの頃の日本の村上春樹現象と一致している。なぜか、あの頃女性誌がインテリになって村上春樹が取り上げられていたのだよな。

香港では映画で春樹チルドレンが発展したとの事で、俳優のトニー・レオン、監督のウォン・カーウァイが代表。重慶森林が恋する惑星と言う日本語のタイトルの映画になって、これの映画が村上春樹の影響を受けているとの事。更にウォン・カーウァイ村上春樹に影響を受けた事を名言している。僕はこの頃の香港映画のブームを知らないのだけど、この映画は今度見ていたい。タイトルを聞いた事のある様な気がするけど、レンタルビデオはTSUTAYAにあるのかな?

中国での春樹チルドレンとして挙げられていたのが、あのウェイ・ホイの『上海ベイビー』。この本には思い出があって、この本が騒がれた頃、僕はシンガポールに住んでいて、中国から移住してきた女性へ僕は『上海ベイビー』は単なるポルノ小説と言って怒らせてしまった事があった。彼女も村上春樹を読んでいたな。

台湾とか香港、中国も豊かになって、村上春樹の喪失感が若くて生活に困らない人に受けるのだろうな。僕は生活感の無い生活が出来る様になって、生活感の無いところが受けていると思う。