世界は村上春樹をどう読むか

図書館の新書コーナーで見つけた本。
国際交流基金が主催した2006年のシンポジウムの記録と言っていいのかな。その時の討論とか論文の集成。編集は柴田元幸沼野充義藤井省三四方田犬彦。僕は知らなかったけど2006年に、こういったシンポジウムが開催されていたのですね。前回読んだ中国、東南アジアでの村上春樹の読まれかたは、このシンポジウムが前提となって藤井省三氏が書いていたのですね。
感想として、四方田犬彦氏のAfterwordsが、僕には一番共感出来る内容で、僕の持っていた村上春樹に対する抽象的な思い入れを具体的に表現してくれた。
1979年に群像の新人賞で掲載された『風の歌を聴け』を読んだ時の驚き。僕にとっては、この驚きと言うのは、文学は無理に暗くなったり、思い込んだりしなくても良いのだと言う事。
1980年代の活躍を横目で見ていて。1990年代になって村上春樹を読まなくなって、2000年になってから、海外の友人が読んでいる事をしった驚き。
英語圏の人たちは、大学の隔絶したアカデミズムの文脈の中で語り、アジア圏の翻訳者の人たちは自分の個人的な事情の中で村上春樹の本が支えになった事。 僕は、どちらかと言うと、このアジア圏の翻訳者の人たちの読み方に近いのだろう。