1995年のスモーク・オン・ザ・ウォーター

1995年のスモーク・オン・ザ・ウォーター

1995年のスモーク・オン・ザ・ウォーター

これも図書館の新書コーナーで見つけた本。
この本はちょっと前に本屋で見つけたけど買わなかった(買えなかった?)本。結婚してから小使いが限られているので本屋で新刊の単行本を買うのは、本当に価値があると思う本しか買わなくなったので、買わなかった本。中年の主婦がロック・バンドをする内容の帯が付いていたと思う。
読んでみて中々面白い本ではあった。もっと軽い感じの本かなと思ったけど、今まで楽器の経験の無い主婦が苦労してギターとかドラムを覚えたり、女同士の友情、夫、子供とのコミニケーションとか、色々な視点から描かれていてまるでTVドラマの脚本なのだけど面白く読めた。それだけなのだけど。
もう少し言わせてもらうと何で1995年の時代設定にしたのかな? 1970年頃の音楽シーンとか当時のノンポリの学生、ヒッピー達の今を描くのであれば1995年では無く、2005年に設定した方が中途半端に1995年の時代の音楽とか、描写を描く必要が無く、もっとすっきりしたと思うし、おじさんロック・バンドの趣味が受け入れられている現在とは違って、1995年当時ではおじさん、おばさんロック・バンドがまだ世の中に受け入れられていない為に、1995年を時代設定したのかな?
僕はこの小説の主人公より一回りくらい若くて2008年時点で主人公と同じ年代。1995年では無いけど、ドイツから帰国した後、1998年に30代後半で当時通っていた表参道のイタリア語学校の友達とバンドを始めていた頃を思い出した。その友達も30代で全く楽器については初心者。この小説の様にノリでバンドを始めたのだけど。 まあ土曜日の夜にイタリア語を勉強する事からして会社と家庭とは別の顔と言うか、別の時間を楽しんでいたと言えるけど。
この時も土曜日の夜にイタリア語の授業終了後、渋谷の貸しスタジオで練習する時、他のスタジオに来ている連中とは全く異なった雰囲気で演奏が下手である事で完全に浮いていたし、深夜のファミレスでのミーテングもその時間のファミレスの中では浮いていたのだろうけど面白かった。 だから、この小説ではマクドナルドで練習する主人公達が周りからは浮いていたのだろうけど、本人たちは真剣で真面目だった。
と、ここまで書いて、ひょっとして、この本の作者は当時のバンド仲間の一人かも?と思ったけど、作者の五十嵐貴久さんの経歴に該当するメンバーはいないので違う様だ。当時のメンバーも不思議な人だったなあ、大手有名企業で子供もいる家庭があったり、MBAを取って転職した人とか、大手広告会社を辞めてイタリアへ行ったりしていたし。