NIKKEI NETのBIZ + PLUS リチャード・クーのKoo理Koo論の第9回「サブプライム問題はどのようにして起こったか」

NIKKEI NETのBIZ + PLUS リチャード・クーのKoo理Koo論の第9回「サブプライム問題はどのようにして起こったか」(2008/08/21)より。

NIKKEI NETとNIKKEI BP NETの二つのWEBが紛らわしい。どちら同じ様なテーマになっている。

2000年 ITバブル崩壊して、ナスダックの株価が約1/5になるとか、総需要が激減した。 
グリーンスパンは、土地バブル後の「日本と同じこと」= バランスシート不況(企業の土地や株式などの資産が暴落、負債が増える)が発生すると考えた。企業は、確かに、借金返済に回り始めた。

この為、
減税を行い、短期金利を1%へ下げた。
中古住宅の価格は、2000−2001年前年比5%、2002年以降は前年比10%を超えていた。

この為、借金をして住宅を購入し、値上がりしたら転売する住宅バブルが発生。 グリーンスパーンは、「住宅バブルになれば一気にITバブルの落ち込みをオフセットすることが出来る」と意図的に住宅バブルへ引導?(だけど、FRB内で、住宅バブルと言う言葉は使用禁止だったそうです)。

ここまでのグリーンスパーンの政策は正解?。

ここからが失敗。

実際、彼の考え方は、前半の部分は見事に成功した。したがってITバブルが崩壊し、9・11同時多発テロでやられても、米国のGDPはほとんど減らず、その間に米国企業はバランスシートの修復を終えていった。

そして03年の終わりから04年の初めに、企業のバランスシートはきれいになったという情報がグリーンスパン議長のところに入った。企業のバランスシートがきれいになれば、きっと彼等はお金を借り始めるはずだと彼は考え、04年の6月を起点に、1%から5.25%まで合計17回にわたって金利を上げたのだ。

ところが、ここに一つ大きな誤算が生じた。それは、企業がお金を借りに戻って来なかったことである。これは今の日本にも起きている現象だが、たとえ企業のバランスシートがきれいになり、資産と負債のバランスが回復しても、一度借金返済に追われた企業経営者は、二度と借金をしなくなる。日本も経験している借金拒絶症である。

実際、04年、05年の議会証言などでグリーンスパン議長は何度も「これだけ景気が回復して、普段なら企業がお金を借りに来る局面が来ているのに、米国企業はなぜお金を借りてくれないのか」と述べている。

そうなるとどうなるのか。まず、FRBが短期金利をどんどん上げていくなかでも、景気は良くなる。なぜかというと、借金返済を終えただけで、企業はそれまで借金返済に回していたお金を、そのまま設備投資に使えるようになるので、その分だけ景気が良くなるからである。

ところが、企業は手元の資金だけで設備投資をするので、資金需要は出てこない。その結果、短期金利は上がったが、長期金利は上がらなかった。なかには、上がらないどころか下がるような時期すらあった。そうなると、住宅の需要は長期金利に反応するから、住宅バブルにブレーキがかからなくなってしまった。 だから短期金利を上げても、住宅バブルは落ち着かないどころか、むしろ拡大してしまう。これが、当局側の大きな誤算である。2004年ごろから、利上げとともに住宅価格は下がると思っていたのに、全然そういう状況にならなかったのである。

結局、企業の資金調達にて、間接金融(銀行からの借入)の比率が減少し(直接金融へ移行?)、国の金利政策によって、企業の投資を拡大したり、抑制したり出来無くなっている事?