宮崎学 地上げ屋 (突破者それから)

宮崎学 地上げ屋

これは、単行本でのタイトルが「突破者それから」で、文庫本では「地上げ屋」に変えている。

宮崎学氏の名前は、雑誌の記事のタイトルとかで名前を見たり、「キツネ目の男」の事は知っていたが作品を読んだ事は初めて。
先週、下北沢の古本屋で、この本を購入したきっかけは、神保町の東洋キネマの跡地を地上げしたのが宮崎学氏で、この経緯が書かれていた事を知って。
東洋キネマについて興味が持ったのは、前に読んだ「建築建物の探偵」の中で取り上げられていたからで、何年か前に久しぶりにお茶の水に行ったら、僕の学生時代とすっかり変わっているのに驚いた事を思い出した事が「建築建物の探偵」を購入したきっかけと、三段論法。

僕は文庫本は電車の中、単行本は家で読むことにしているので、この本と「戦略コンサルティング・ファームの面接試験」を並行して読んでいたのだけど、この二冊の本の中身が頭の中で混乱した時があった。

「戦略コンサルティング・ファームの面接試験」では、コンサルティング・ファームへの就職志望者がコンサルタントに要求される資質を判断する為に、実際にコンサルティングの現場で、クライアントが求めている色々なビジネス上の問題について口頭での試問を行っており、就職志望者がどういう風なアプローチで回答すれば、面接官が納得するかを、ケース・スタディでの模範解答例(就職志望者と面接官の会話)として挙げており、この模範解答例の会話と「地上げ屋」の中での作者と回りの登場人物との会話が似ていた為。

新規事業への参入の場合、ケース・スタディでの模範解答は、まず新規事業の売上高と利益高を暗算で求めると言うのがあって、それから強み、弱みと言った分析に入るのだけど、この本での作者の周りの登場人物との会話は、ケース・スタディの模範解答そのもの。コンサルタント業と地上げ屋も最大の利益を上げると言う同じ目標だから、アプローチは当然、似てくるのだろう。 この本の中にも書かれていたが、地上げの仕事は、時として誤解されている様な乱暴な仕事ではなく、知的な仕事。

地主を説得する接待工作についての描写は、佐藤優氏の「野蛮人のテーブルマナー」と似た内容。 こういった接待が人を口説く本質なのだろうなあ。


突破者それから

突破者それから