真山仁 レッドゾーン

NHKのTVドラマにもなったハゲタカ・シリーズの三作目。

先週末に上巻、下巻を一気に読んでしまったのだけど、経済小説よりと言うよりエスピオナージ(スパイ)小説。

典型的な創業者一族がいる地方の大手自動車メーカーのアカマ自動車に対して、上海のほりえもん(!)のキャラクターの賀一華が敵対的買収をかける話が、ストーリーの発端。 

しかし、賀一華はTOBを掛けられたアカマ自動車の出方を見るだけの捨て駒で、黒幕がいると展開して、この黒幕として中国の政府筋が出てきて、前作で殺された(?)鷲津の秘書の話が蒸し返され、彼の恋人が記憶喪失であらわれて。。。と言う二転三転する展開。

下巻の真ん中過ぎから、黒幕が中国の政府系ファンドで、米国の三大自動車メーカーの救済も含めたシナリオで動いている事が分かって、さあ鷲津、このTOBに対してどう対応する? と思ったものも、買収合戦の相手である鷲津の知己に会って話をしたら解決してしまうと、いきなり性急な展開になって、M&AのPlayerの世界は狭いと事を説明しているのかも知れないが、上巻から下巻の中盤までの展開と比較して、肩すかしをくらった様に終ってしまった。 

ところどころ描かれている芝野のマジテックの話の結論が出ないまま終わっている事も考えて、本来はこの話は3巻程度の分量で書かれる筈の小説が、なんらかの理由で2巻で終了したのでは? 小説の中のアカマ自動車のお家騒動の話しが、モデルとなった会社を刺激した?

レッドゾーン(上)

レッドゾーン(上)


レッドゾーン(下)

レッドゾーン(下)