大森一樹 風の歌を聴け

会社の帰りにTSUTAYAに寄ったら、村上春樹の「風の歌を聴け」を映画化した大森一樹の「風の歌を聴け」のDVDがあった。「ノルウェーの森」の公開に向けて、過去の村上春樹の映像化された作品の特集コーナーがあった。以前より見たかった映画だったのだけど、DVDになっている事は知らなかったので、早速借りる。「風の歌を聴け」の単行本が発売されて、僕が読んだのが本の内容と同じく大学一年生の夏休みを実家で過ごしている時だったので、この本には深い思い入れがある。

この本が発売されたのは1979年なのだけど、1970年の主人公が夏休みに東京より神戸へ帰省している時の話しで、映像自体も撮影された1980年より昔の1970年の頃を意識しているのかも知れないけど、映像が古い事に愕然とした。大森一樹と言ってもATGの映画なので、1960年代を意識しているのかも知れない。

この「風の歌を聴け」が発売された1979年の頃って、まだ1960年代への思い入れが残っていた時代だったんだよね。 あの頃の僕の友人達は、皆、1960年代への思い入れを持っていた友人で、僕としてはそこまで1960年代への思い入れを持つ事も出来ず、とは言って軽いノリの学生生活も出来ず悩んでいた時に、「風の歌を聴け」を読んで、救われた。自然体でいこうって。

映画の話に戻るけど、やっぱり小説とは違うなと思う。「僕」が最後に「小指の無い女の子」と寝た時に小指がある事を見つけたり、「鼠」の映画が出てきたり、ラストシーンで、J's Barが廃墟になっていたり。 特にJ's Barのイメージは僕のイメージとずいぶん違っていて残念。

「風の歌と聴け」の翌年には、田中康夫の「なんとなく、クリスタル」が出版されて、当時はこちらの方が有名で、村上春樹はマイナーな作家だけどカルト的な人気を集めていた事が懐かしい。


風の歌を聴け [DVD]

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