水平分業理論の破綻

日立が中小型液晶パネルを生産している日立ディスプレイズFoxconnへを売却した記事、先週の東芝モバイルディスプレイとシャープの中小型液晶パネルにアップルが投資した事と言い、iPhoneで儲けたアップルとFoxconnが儲からない基幹部品の生産に投資している事に驚いてしまう。 確かに基幹部品の供給を確保する為に必要な投資であるが、この投資はAppleFoxconnにとって前向きな投資案件であったのだろうか? 水平分業の考え方から言えば、これらの中小型液晶パネルの増産への投資は日立、東芝、シャープが独自で行えば良い問題であり、AppleFoxconnが喜んで投資をしたとは考えずらい。 どちらかと言うと、AppleFoxconnより日本メーカーへの中小型液晶パネルへの増産要求に対して、日本メーカーは増産に必要な投資に対して、市場、技術の将来性より増産を拒否して、AppleFoxconnへ資本参加を要求した結果ではないのだろうか。


PC、携帯電話等のIT機器について、過去、海外企業は半導体、ソフトウエア、アッセンブリー等の水平分業化を進める事で、製品を開発、生産、販売する事で成功して利益を確保していた。日本企業は垂直統合に拘った為、競争に勝てなかった。 と言うのが、最近の競争戦略の教科書の定説の中で、この動きを見ると、水平分業化の戦略では利益の出ない会社がギブアップする事で水平分業のビジネスモデルが破綻したと思える。 だから、水平分業の中で利益の出ている会社が利益の出ていない基幹部品を支える事で、サプライチェーンを維持せざるを得ず、アップルが投資したと思えるのだけど。 

これは結局、水平分業から、垂直統合へ生産のモデルが戻る事になるのかな?
アップル、FOXCONNよりの増産の要求に対して、製品、技術のライフサイクル面で投資に対する十分なキャッシュ・フローが期待出来ない場合、彼らより金を出させる様に、日本の企業の交渉力も強くなった事と、大企業の意思決定のプロセスが、規模の拡大、雇用確保より、米国式の利益優先主義へ変化している事なんだろう。 特に大企業の意思決定に関わるトップ・マネージメントの世代交代が進んだ事が理由と思う。