角田光代 ロック母

ロック母 (講談社文庫)

1992年から2006年までに発表された短編集。

地方の高校生の屈折した生活と東京への生活の憧れを描いた「ゆうべの神様」が、高校生時代の感情を思い起こさせてくれた。 最近は、こういった高校生の感情を描いた作品とか無いのかな? 地方で親と近所と学校にうんざりして、不良と呼ばれる友人と付き合う事で憂さを晴らして、東京での一人暮らしに憧れると言う、典型的な地方の高校生の小説。

この「ゆうべの神様」の女子高校生の10年後の姿が、表題の「ロック母」と思うのだけど、いつのまにか大音量でロックのレコードをかけながら針仕事をしている母親の姿で、ロックのレコードを大音量で聴く事により現実逃避をしていた主人公の高校生時代と、田舎を離れて自由になってロックを聴かなくなったものの、結局は子供が出来て臨月になって田舎に戻る姿に共感してしまった。