殊能将之 ハサミ男

書名は知っていても、怪談、スリラー、スプラッタの小説は好きでは無いので、この本についても、今まで読んでいなかった本。

図書館で何冊が作品が並んでいて、二作目以降が面白そうな内容だったが、どうせ読むのだったら最初の作品より読もうと思って借りて、休日に一機読みしてしまった。

第一、第二の猟奇的な殺人事件の犯人である主人公の視点から描かれているので、折原一の叙述トリックとの共通点が多い。　特に主人公の精神状態とか。

第三の殺人事件を起す前に、他者に拠って殺人が行われ、その犯人を捜すと言う舞台設定は斬新なアイデア。　

連続殺人の中に殺人を紛れ込ませる謎解きなかと思って読んでいたが、最後のどんでん返しが、この本のメインのトリック。　トリックを知ってから、途中で伏線となる記述を思い出して、『騙された』と思ってしまう叙述トリックのミステリーの醍醐味が味わえた。

犯行自体の謎解きを楽しむ人には受けないだろうな。

ハサミ男 (講談社文庫)