佐藤可士和の超整理術

佐藤可士和の超整理術

図書館の図書分類法では、先日のブログに書いた「情報は一冊のノートにまとめなさい」と同じく、この本も図書館の書棚の一番端の「総記」の書棚に置かれてあって、僕は最近になって「総記」のコーナーにライフ・ハック関連の本が有る事に気が付いて、先週末にこの棚に置かれている本を眺めていて、以前にベストセラーになった記憶のあったこの本を棚から取り出したのだけど、この本は整理術と言うより、クリエィティブな仕事の仕事術の本と考えた方が良いと思う。

 

読書メモ

 

「空間の整理」

極生、明治学院大学、東京新美術館の広告とかブランド戦略の仕事を通して、最終的な作品がどの様なプロセスで生まれてきたかを説明しているのだけど、頭の中を整理する事が必要で、この為には、まずの外部環境(仕事場の環境)を整理する事の必要性が書かれている。

 

「情報の整理」

広告のデザイン、コピーを作成ブランド・イメージの構築の仕事は、まず対象となる製品、組織の特性を把握する事が必要。

特性を把握する為には、その物の持つ特性(情報)を出来るだけ入手して、それを整理して伝えたいイメージを「創作」する。

「創作」と言うと僕は非論理的であり感覚的な仕事と考えていたが、特性(情報)を整理する事が「創作」で重要なポイントであり、論理的な仕事である事が分かった(これは佐藤可士和氏だけの仕事術かも知れないが)。

対象が人、組織の場合

この本の最初の方のページにクリエィティブ・ディレクターの仕事は医者の仕事と同じと書かれていたが、対象となる物の特性を見つける為には、人とか組織であれば、ヒアリングを行なう事で、その人、組織の特性を理解する。更に、その特性はその人、組織が無意識のまま言語化されていない状態の可能性がある。 物であれば、その物の特性を把握する。

対象が物の場合。

物の特性を整理する事は、「独自の視点」より整理する事が重要。 極生であればビールの廉価品としてのポジショニングでは無く、新しい飲み物として特性付けが出来た事が広告キャンペーンの成功要因。 

クリエィティブな仕事で無く、一般化した仕事であれば「独自の視点」は必要無く、「一般的な視点」でも良いとも思えるけど、ヒットする為(多数の他人よりの共感を得る)には「独自の視点」による特性の整理と、その特性を前面に出す事が必要になる。これが一般的な仕事とヒット作を作成する仕事の差異だろう。

この本が図書館の「総記」に分類されていたのは、情報を「一般的な視点」で整理されていた代表例。本屋ではビジネス書の分類だと思う(出版社が日本経済新聞社だから、出版社の視点で整理されていた?)

「思考の整理」

三番目の「思考の整理」については、二番目の「情報の整理」と似た感もある。 ファースト・リテイリングのロゴの話も、二番目のヒアリングで発見出来た手法と思える。 

本の中身として、読者へのアピール度を考慮して(プレゼンなどで、「理由は三つあります」とコジツケでも、三を強調する手法)、二番目の「情報の整理」と三番目の「思考の整理」を分けている感もあるが、目次に戻って読み直すと、「思考を情報化する」と書かれているので、もう一度、精読してみようと思い直した。

佐藤可士和の超整理術

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