MicrosoftのTablet発売のニュースを聞いて


マイクロソフトタブレットPCを販売するニュースを聞いて、経営学者、経営コンサルタントがどの様に評価するのかに興味があります。

90年代からのインテルマイクロソフトの成功要因として、

  1. PCをコモディティにした。 その結果、一般消費者層に普及して、PC市場規模が急成長した。
  2. PCをコモディティにする為に、PCのモジュール化を進めて、PCメーカーが完成品の差別化を出来ない様にして、価格のみがシェアを決定するビジネスにさせた。 
  3. インテルはCPUの開発/販売、マイクロソフトはOSの開発/販売に特化して、完成品PCの利益率低下には関わらず圧倒的な利益を確保出来た事。

この話は、90年代末から2000年代初頭はPCのビジネスがケーススタディとかでも良く紹介されていたと思うのですが、実際のPCビジネスの現場でも、「インテルマイクロソフトは頭が良いよね」と言われてきた内容です。 その結果、完成品PCメーカーはIBMの様にハードウェアの生産からサービスで利益を稼ぐ事にリソースをシフトしてきたし。

だけど、iPhone発売以降のApple社の快進撃により、上記のインテルマイクロソフトの戦略(コモディティ化、モジュール化)は時代遅れの理論としてとらえられてき、反対にApple社の様に「ブランド化」と「ハードウェア本体の販売以外のビジネスで収益を上げる事」の理論が時流になってきた様です。 ハードウェアとしては垂直統合でも構わない(或いはブランドの為には垂直統合が必要と考え始めた?) 

この理論がマイクロソフト社内でも浸透してきたのか(日本の会社の様に意思統一の為の社内での空気の変化、浸透に時間が掛かったのか)、ビル・ゲイツの気が変わって鶴の一言で決まったのか、今回のマイクロソフトの自社ブランドでのタブレットを発売する決断になったと思います。

これをパラダイム・シフトと呼んだり、クリスチンのイノベーション・ジレンマの例を持ち出して、今回のマイクロソフト ブランドのタブレットの発表を、過去と決別する正しい決断として正当化する記事とか論文が出てくるのだろうなと思いました。

だけど、今回のマイクロソフト ブランドのタブレットが失敗したら、この決断が遅れた事を「イノベーション・ジレンマの失敗例」として教科書に取り上げられそうな気がします。