東直己 探偵はバーにいる

文庫本の平積みコーナーに「バーにかかってきた電話」が映画化されたと言う帯が付いた文庫本が並んでいて、日本映画化される軽い内容のミステリーと思っていたのですが、よく見てみたらハヤカワから出版されている本なので手にとってみました。 

表紙裏の作者の東直己氏の紹介で「北海道大学文学部哲学科中退。ススキノその日暮らし。。。」を読んで購入する気になったのですが、映画化された「バーにかかってきた電話」は第二作目である事が分かり、一作目の「探偵はバーにいる」を購入しました。

この本は面白い。 謎解きとテンポの良いストーリーの展開も良かったのですが、この小説はハードボイルド小説らしい「臭さ」があります。 

バーと言っても、この小説からイメージしてしまうのは、1980年頃のビリヤードの置いてあるカフェ・バーで、小説中に何回も描写のあるテレビゲーム(あの頃はビデオゲームだっけ?)の「ゼビウス」が僕にとっては懐かしい小道具です。

ハードボイルド小説らしさを盛り上げているのは、主人公のアルコール依存度以外に、小説の中に登場する女性たちです。ラブホテルで殺された工藤の幼馴染の恋人のイメージは小林麻美で決まり。 娼婦のモンローのイメージも、娼婦でありながらイノセントなイメージで良いですね。 最後に大学講師の西田に彼女の事を語らせて(これが読者のイメージを代弁)、主人公が本当は同意しながら、否定する描写も。

あとがきを読んで、この本は1992年に出版されたのですが、本の内容は1984年頃を舞台として書かれたとの事です。 風俗営業法が変わるのは1984年だったのですね。 僕は、当時は、まだこの小説に出てくる馬鹿な大学生の役回りかな? だけど「傷だらけの天使」が好きならば、この小説は気に入ると思います。