原尞 そして夜は甦る

そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))

今年の夏は東直己氏のススキノ探偵シリーズの「駆けてきた少女」まで一揆に読んでしまいました。 そこでハヤカワ文庫ミステリーの文末の広告にあった原尞氏の「そして夜は甦る」と、「私が殺した少女」を週末に購入しました。

まるでレイモンド・チャンドラーの小説を読んでいる気分

西新宿の雑居ビルにある主人公の探偵事務所に一人の海部と名乗る男が訪ねてきて、心当たりの無いルポライターの佐伯と言う人物が、先週この探偵事務所を訪問した筈だと尋ね、心当たりの無い主人公はその不躾な依頼者に怒りを見せながらも、20万円が入った封筒を預かると言うミステリアスな出だしで始まる。

また韮塚と言う弁護士から、同じ様に佐伯という名の男を知っているかと言う電話を受け取り、佐伯の雇い主の資産家であり美術評論家の更科修蔵の依頼を不本意ながら受け、調査を開始したところで殺人事件が発生し、ストーリは二転三転して、記憶喪失の男が出てきて、東京都知事の狙撃事件の話になり、主人公の探偵は東京都知事、知事の弟の俳優、資産家である大会社の会長、社長と言った上流社会の間に入っていく。

上流社会での愛憎劇が事件の背景であると言うストーリ展開が、まるでレイモンド・チャンドラーの小説ですね。

僕の好みとして、愛憎劇が謎解きに影響しているストーリーは、ちょっと感情移入が出来なくて、後半はストーリ展開についていくのに辛い部分はは有りましたけど、チャンドラー好きには最高の小説でしょう。

この文庫本は先週末にブックオフで文庫本を買い込んだ時に購入したのですが、東直己氏の文庫本は日本の作家別の棚にあったので、その棚で「ハ」で探して見つからなかったので諦めたのですが、100円均一の棚で原尞氏の二冊の文庫本は見つけました。 少し汚れていた為、100円均一の棚に置かれていたと思いますが、映画化された小説の作家はブックオフでは高い評価をされている様ですね。 おそらく単純に寝付けしていると思いますが。