ポール・オースター トゥルー・ストーリーズ

新潮文庫版のトゥルー・ストーリーズを読む。このエッセイ集は日本だけでの編集だそうである。映画スモークを見た後、このスモークの文庫本が新潮文庫より発売されていた記憶があったのだけど、この本は既に廃番になっていました。

ポール・オースターについては初期の三部作を単行本が発売された時に読んでいる僕にとっては唯一の外国の作家なのですが、このエッセイを読んで時代的に納得してしまいました。ポール・オースターコロンビア大学に通っていた時代が学生運動の時代で、だけど本人は学生運動はせずに、その周りで学生時代を過ごしていて村上春樹と同年代なのですね。 僕は彼らより一回りくらい若いのですが、僕は60年代後半に学生生活を送った人への憧れと言うか羨ましさがあるのですが、更に、その時代でも学生運動の中に入れずに違和感を感じていた人の作品が好きなのだろう。

初期三部作を日本での発売と同時期で読んだ後、僕自身の生活の変化もあり、行本で発売されたと同時に読む事は無くなって、それでもムーン・パレス、偶然の音楽、リヴァイアサンまでは文庫本で読んでいたのだけど、この初期のエッセイを読むと、それらの作品が書かれた背景を少し知ることが出来た。 たまたま作家として成功して、映画を作成したりしているけど、普通のニューヨーカーなのだろうな。 或いは作家として成功していなければ、都会の片隅で生活している住人として。 初期の作品はポスト・モダンとしてのかた苦しさと、それが上手く作品として書かれていたけど、それ以降の作品は構造として踏襲しているが、結局のところ構造でしかないのが、何となく物足りなさを感じてしまうのだけど、それはそれで読んでいてテンポよく飽きずに読めるのが良い。

古典では無く今の時代の作家の作品を読んでいると、発売された時の僕身身の生活を思い出してしまうのが思い入れを作り出している。 文庫 本での発売を待たずに、早く新作に追いつかないといけないと思った。

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