マイク・モラスキー 戦後日本のジャズ文化

1956年生まれの米国人の著者は私より4年早い生まれだし、東京へ来たのも1976年なので、私が大学で上京した1978年と、過ごしてきた時代はあまり変わらない筈だけど、過去の知識、調べには頭が下がる。
著者は日本留学時にアケタの店でジャムをしていたと、後書きにあるので、 私にとっては名前は知っていても怖くて行けなかったフリージャズの世界を知っているのだろう。


この本で面白かったのは、第4章から第6章の1960年代 のアングラ、革命、政治を含んだジャズ文化論。私も若い時にこの時代に憧れていた時期があり、それジャズへ憧れたけいいもあるが、当時の文化をまとめて知ることができた。


前哨として第3章までの戦前、戦後、50年代まで、ジャズは洋楽の代名詞、ポピュラー音楽だった。


第4章
1960年代からジャズは黒人音楽として好事家が聴く音楽になった。インテリ、文化人が聴く音楽としての位置を得る。私もジャズに対してこの60年代以降のイメージが強い。
更に、革命、政治の時代も入ってきて、相倉久人平岡正明の二名をこの時代の論客として紹介している。


第5章
日本独自の文化であるジャズ喫茶論
第4章と第5章の間の軽めの文書


第6章
1960年代のアングラの時代
大江健三郎
倉橋由美子
中上健次
白石かずこ


日本映画として、永山則夫を取り上げた
足立正生の略称・連続射殺魔
若松孝二の十三人連続暴行魔 1978年
に、かなりのページを費やしている。

白石かずこは、私はラジオのディスクジョッキーと勘違いしていた(DJと書くと若い人は誤解されるのだろうな)。
若松孝二の十三人連続暴行魔の映画は知らなかったが、阿部薫が音楽を担当していて、亡くなった1978年公開の映画との事。1978年だとATGとかアングラの最後の頃か。