ポール・オースター 闇の中の男

911が無かったアメリカを描いた小説とも言えるのだけど、それよりも柴田元幸が訳者のあとがきの中で、オースターが『2002年からの部屋に篭った老人の話の5作目』と書いている事に気がつく。と言う事は、

 

2002 幻影の書

2003 オラクル・ナイト

2005 ブルックリン・フォリーズ

2007 写字室の旅

2008 本書

と考えるのだろう。

 

ラクル・ナイトを再読して、主人公の歳上の友人の作家の名前がオースターのアナグラムである事から、オースターは自分を主人公ではなく、この友人を自分として小説を書いたとして読んだのだけど、この『闇の中の男』ははっきりとオースター本人を主人公である夜中の眠れない老人として描いている。

 

小説の中の小説として、老人が眠れない夜に想像する911の無かった世界の話、この話の主人公が老人を殺す様に仕向けられいるストーリーもオースターらしく面白いが、他の孫娘に話す昔の恋愛談が、小説全体の重いトーンを最後に解消している。

 

ブログを書き終えて、関連記事で昔のブログが出てきた。

 

幻影の書をブログにかいたのが2014/11/19。

 

ラクル・ナイトをブログに書いたのが、2016/5/8か。