平凡パンチの三島由紀夫

荻窪の古本屋「ささま書店」で400円で購入。ひさしぶりに荻窪の街へ行ったが、昔に比べて学生が少なくなって、下町の様に年齢層が高くなった気がする。

著者は1960年年代末の平凡パンチ三島由紀夫の担当者。この本も昔に出版されたのかなと思ったが2007年の出版で、事件より36年を経て発表された訳ですね。

序文:日本で最初にスーパースターと呼ばれたのが三島由紀夫

僕は事件当時はまだ小学生だったのですが、その後、三島の自決の直前はマスコミへの露出も多く、若者向けの軽い作品も書いていた事は、テレビの戦後の特集、学生運動の記録等で見た記憶がありましたが、60年代末の日本の状況、特に学生運動の状況と、三島の活動、政治への関わりかたについては断片的な知識しか無かったので、この本を購入してみる事にした。

平凡パンチの編集者と言う視点から書かれているのですが、左翼の学生が真剣に革命を起こす事を信じて活動していた様に、三島も市ヶ谷の自衛隊で活動をする事により自衛隊が蜂起してクーデターを起こすと信じていた。 

この時代の左翼の学生の姿は今からは全く信じられないものであり、左翼と三島の思想に共通しているものは、戦後の米国主導で復興した日本に対する危機感。しかしながら天皇制のところで、大きな溝があった様です。

著者は最後の一年間は三島の担当を外れていたとの事で、途中の章では三島の活動内容より外れて、60年代末の映画、文学についての記載も多く、これはこれで興味深かった内容です。

更に、出版社の内部事情の話しから雑誌論に言及した箇所もありましたが、雑誌も60年代末は大きな影響力を持っていた様です。その後の若者文化の変化によって流行を作っているのか、流行を追っているのか分らなくなってきたのが80年代で、バブルの崩壊と一緒に雑誌文化も滅んだのかな?

平凡パンチの三島由紀夫 (新潮文庫)

文庫本でも出版されていましたね。