国家の罠 佐藤優

国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)

国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)

以前に単行本で発売された時から気になっていた本。今回、新潮文庫より文庫本で発売されたので久しぶりに新書を買う。話が飛ぶのだけど、この本を買った先週の週末、久しぶりに新宿の紀伊国屋サウス・ゲート店に行ってきた。最近は図書館とブック・オフと、本屋と言っても小さな本屋しか行かないので、新書の紹介を見て、図書館とかブック・オフに並んでいる本とは違うなと感じた。図書館へ行っても、新しく入った本の棚を見てみるのだけど、本屋で今陳列されている本とは全く違う。僕の周りでも、まあ出張中に飛行機の中で読む文庫本を探している人が多いせいか、最近はブック・オフでしか買った事が無い話とか、せいぜい成田の本屋で買ったとかなので、先端(?)で大型書店に行っている人と、僕たちみたいなブック・オフと私鉄沿線の駅前の本屋しか行かない人では情報と感性の格差が生じているのだろう。
本の話に戻って、僕がこの本に興味を持ったのは外務省の内幕話が書かれているからと思ったのだけど、外務省の内幕話は余り書かれていない。 どちらかと言うとタイトル通り、国家の罠国策捜査の話。 鈴木宗男氏の事件にしても僕の当時の記憶としては汚職事件としては小さな内容であり、誰かに刺された程度にしか感じていなかったのだけど、この程度の汚職事件でも色々な登場人物がいるのだなと言うのが僕がこの本を読んだ感想。新聞とかマスコミでは全体像しか書かれていないので、この本で事件の各当事者の顔が見えてきて、この事件が政治...政治家だけでは無くて、検察とか司法も含めて...で作られた事件であり、綺麗な言い方をすれば『時代のけじめ』として作られた事件と言えるのだし、作者も誰がこの事件を作ったのかについては全く触れていないので、この分は書けなかったのかな? この本の通りに読むと、この事件を作ったのは決して、田中真紀子、小渕、小泉とか特定の黒幕が決めた事では無くて、彼ら、政治家間でのパワー・ゲームの結果なのだけど。