東直己 バーにかかってきた電話

バーにかかってきた電話 (ハヤカワ文庫JA) 第一作目の「探偵はバーにいる」が面白かったので、今週末は第二作目の「バーにかかってきた電話」を読了。

この第二作目を映画化したが、映画の名前は一作目のタイトルの「探偵はバーにいる」にしたそうです。

僕は映画は見ていないのですが、映画にするのであれば、こちらの方が登場人物が幅広く、それぞれの人物描写が細かく書かれているので、一作目よりも映画向きと思いますが、主人公の探偵に電話で調査を依頼する女性は、最後まで声だけの出演になるので配役が難しいかなと思いました。 探偵役の主人公については、一作目のカバー裏に作者の略歴と写真があって、作者の略歴から主人公の探偵役の映像として作者の写真をイメージしてしまうのは僕だけでは無い筈だけど、映画では誰が主人公役になったのだろう。

ハードボイルドなので、本格ミステリーとは違って犯人が誰であるかと言うロジックは必要無いのですが、電話をかけてきた女性が誰であるか? 最後に明かされる意外な人物は?

ストーリーは札幌のすすきので探偵と言うより何でも屋をしている主人公に知らない女性から電話が掛かってきて、「ある相手に電話をして相手の反応を報告して欲しい」と言う依頼内容からスタート。 それから地上げに絡む殺人事件の展開し、それと並行?して実業家が撲殺されて。。。

その殺された実業家は昔の学生運動の活動家で、その時の裏切り(?)の相手が現在の商売敵になっている事とか、右翼団体の情報を得る為に右翼の老活動家とコンタクトしたら。。。と話の展開、膨らませ方も面白かったので一気に読んだのですが。。。

最後は見事に裏切られました。。。地の文で書いてある事と違うじゃない。。。 こんな結末もハードボイルド小説ならではの読後感ですね。

昔の学生運動の活動家の話も、この小説の舞台となっている80年代では呑みに行って、こういう人に会う事が出来ましたね。僕がこの連作に惹かれる理由として、80年代のバブルに隠れた歓楽街の感じを懐かしく感じているからです。 最近は友人との約束とか、送別会とかのイベントがある時しか呑みに行っていないので、昔みたいにハプニングを期待して一人で知らない店に呑みに行こうかな?