カラマーゾフの兄弟 5
カラマーゾフの兄弟 5を読了。
5巻は、本編のエピローグが60ページぐらいで、後は、ドストエフスキーの生涯と解題。
ドストエフスキーの生涯を読んで、19世紀末のロシアの時代への興味が湧く。僕は今までこの時代を良く知らなかったので。
ロマノフ朝の最後の時代で、知識階級(有産階級)が革命運動を興していて、この中で、ドストエフスキーも最初の本を出版後、皇帝の暗殺計画の一派に入り、28歳で死刑宣告、銃殺される一歩手前まで行って、恩赦。4年間のシベリアのオムスク監獄に収容後、シベリア辺境のカザフでの6年間の警備生活を送らされた。
こういう風に書いてしまうと、収容所列島の様な悲惨な生活だったと思ってしまうのだけど、実際はそんなに酷いものでは無く、それなりに身分がある有産階級、知識階級の犯罪に対しての処罰は違う様だ。生活が保障されている。カザフでは人妻の恋愛もあるし、ペテルスブルグに戻れる様に、皇帝アレクサンドル二世へ直訴もしているし。
農地解放前夜の1850年代末から60年代初めにかけて、首都ペテルスブルグは一大犯罪都市のごとき観を呈していた。
僕の持っているサンクト・ペテルスブルグのイメージが、都会的で綺麗なイメージしかもっていなかったので、当時のサンクト・ペテルスブルグが悪徳の都だった事も新鮮な気づき。
その後の何回かのヨーロッパ旅行、滞在。
旅行といっても、日本人の感覚からは大名旅行の様な貴族的な旅行であり、滞在生活。ヨーロッパの各都市の高級ホテルに長期滞在しながら、同じ様に亡命した革命家に会ったり、これらの革命家も生活に苦しんでいる感じは無い、ブルジョワジーの匂いがする。
更に、ヴィスバーデン、バーデン・バーデンとかのカジノのルーレットで大敗。尾行している秘密警察の目を眩ます為とも書かれているけど、僕も、これらのカジノにドイツ駐在中に何回か行ったので、本当に暇を持て余した金持ちが遊んでいるとしか思えない。 カジノの中でルーレットで遊んでいたとの事なので、これもドストエフスキーの性格に合っていたのかな? この話は、今後、もうすこし考えてみよう。
結局、ドストエフスキーの生涯の記事を読みながら、この時期のロシアは面白そうな時代だったと思う。 働いていないにも関わらず、裕福な生活をしている有産階級の知識人が、頭の中から革命運動をしていて。 ローマ時代の民主主義にもつながる時代?