菊地成孔+大谷能生 M/D

 

M/D 上 (河出文庫)

M/D 上 (河出文庫)

 

 

 

 

 

東京大学教養学部の2004年からのジャズに関する講義で、『東京大学アルバート・アイラー』で紹介された講義の後の講義を本にしたもの。

マイルス・デイヴィスを語ることはジャズの歴史を語ることになっている。更に、その時代の大衆音楽の中でジャズが説明されているので分かりやすい。分かった様になる本。

私にとって、ジャズは実際にレコードを聴くより知識が先行していた音楽なので、昨年からのスティ・ホームで、1950年代、1960年代のハード・バップを聴いて、やっと、ジャズが分かりかけたと思っている。80年頃のクロスオーバー・ブームの時に、Weather Report、Return To Foreverは聴いていたけど、その前のジャズはレコードを何十枚位、買った程度。自分でレコードを購入してして聴く以外に、ジャズ喫茶で聴くか、80年代のバブルの頃はバー、ライブで聴いていた方が多いと思う。

それでも、マイルスが金持ちの黒人の出身で、クラシックの勉強でジュリアード音楽院で勉強する為にニューヨークに出てきたが、実際はチャリー・パーカーと一緒にビパップをしていたくらいは知っていたけど、今回、『東京大学アルバート・アイラー』、『M/D』と読んで、コーダルのビパップからモーダルへの流れを読んでいると、マイルスがジャズのメインストリームで入れた理由。と言っても、結局は大手のコロンビアと契約出来たからかなとも思うけど、大衆音楽の変化の中でのジャズの位置付け、更にその中でのマイルスの位置づけが分かる本でした。

 

マイルスがビバップを演奏しながら、ギル・エバンスとアンチ ビバップの音楽を作っていって、これがBirth of The Cool。 Birth of the Coolが、マイルスの最初のレコードとして出てくる(録音は1949 - 1950 レコードの発売は1957年)けど、やはりこのアルバムはPrestage、Bluenoteの録音とは違うのだな。

1949年のパリ公演の話は、映画のBirth of the Coolでグレコとのエピソードで出てきて、この時のパリでの人種差別の無いもてなしが、マイルスの米国へ帰国後のドラック中毒の原因となって、この時は実家に帰って克服。だけど、Prestage、Bluenoteの録音は克服前の時期か。

 

アンチ ブルースでありながら、ブルースは一種のモーダル? 個人的に、これには納得してしまうのが、ブルースでは、ずっとマイナーのペンタトニックでアドリブを弾いていたから。確かにモーダルと同じと思いながら。